神話の里トイレ

AWARD
2021年 ウッドデザイン賞2021/【雑誌掲載】GA JAPAN 176
2022年 ながさき建築賞​

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ロケーション
 本計画は壱岐対馬国定公園和多都美園地の中にある、神話の里自然公園に建つパブリックトイレです。和多都美園地の中心である和多都美神社は古くから竜宮伝説が残されている神社であり、近年観光客が増加していることから、近隣の神話の里自然公園内に計画整備された建物です。
 対馬は面積の約90%を山林が占める自然豊かな島です。島の地形は標高200~300mの山々が海岸まで続き、急峻な山、深い森、多くの湾や島を有する複雑な海岸線が特徴的です。主要な2つの島(北部の上島と南部の下島)の間にある浅茅湾は、深い入江群と島々の発達した典型的なリアス式海岸の様相を呈しています。
 計画地の神話の里自然公園は、道路に面して広い駐車場があり、その奥に管理建物、キャンプ用コテージ、ビーチと続いており、それを囲むように山々がある緑豊かな公園です。本建物は駐車場の一角に計画され、また国定公園内であることから、屋根形状や建物の配色といった修景に対し十分に配慮しながら計画しました。
 

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景観との融合
『自然公園の中に建築が溶け込む』ことが大切だと捉え、屋根形状や素材に対して配慮した建物です。屋根形状は周囲の山々の稜線を崩さないよう山の傾斜に沿った形にし、建物の高さを抑えています。

素材・配色による調和
 素材については環境に配慮し、あたたかみのある木造とし、外壁及び軒裏も全て木材を採用しています。また木部は全て液体ガラスを含侵塗装し、塩害や紫外線による劣化や腐食における対策を施しています。
 配色については、木々の光(緑葉)と木々の影(幹)をイメージし建物の配色を決めています。光に置いては 「抜け」を設けることで建物に緑を採りこみ、影においては外壁を木々の幹色に合わせることで景観との融合を図っています。
​ 木々の影をイメージした外壁の色を決定するに当たっては、周囲の風景に溶け込むよう、色味を少しづつ変化させたサンプルを複数作成し、実際に現地にて景観と合うイメージとなる色を選定し施工を行っています。
 

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公園より管理棟、トイレを見る.JPG


利用者等への配慮
 屋根を浮かせ外壁上部をルーバーとすることで光を取り込み内部を明るく、また建物内の自然換気を促し、利用者の快適性に配慮しています。
 本建物は長崎県福祉のまちづくり条例に適合したバリアフリー対応施設であり、車椅子での利用が可能なトイレを設置しています。またオストメイト用設備も設置しており、全てのトイレがウォシュレット仕様となっています。トイレは24時間、いつでも安心して快適に利用できる施設としておくことが重要で、明るさの確保、換気対策は特に配慮しています。建物内上部ルーバーからの明かり取りや照明で十分な明るさを確保しており、夜間でも安心して利用できるよう配慮しています。
 木造の一般的な構法である軸組工法を採用することで離島の地元施工者においても施工可能な計画としています。
 本計画地は、一見平坦地に見えますが建物の長辺方向両端で約80cmの高低差があります。駐車場全体がなだらかな傾斜地となっており、この高低差を上手く利用して、どの場所からでも建物に入れる計画とする必要がありました。みんなが利用しやすいトイレとなるよう配慮し、段差の解消を図っています。スロープは基本的に1/20以下とし、最大でも1/12以下としています。
 

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神話の里トイレ
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写真:Fujinari Miyazaki